長沢山から芋ノ木ドッケ
赤線つなぎの最奥部、長沢山から芋ノ木ドッケの区間を歩いてきた。
大血川からの周回ルート。
ルート図
今回、長沢山へのアプローチをどうするかかなり迷った。
奥多摩側から登る事も考えたが、八丁橋まで車で行っても距離が長いし、歩いたことのあるルートでの往復になってしまう。
秩父側からは以前、大血川東谷から榊山を経由して登ったことがある。
今回は違うルートでと地図を見て、西谷の鉄砲沢出合に下る尾根に目が付いた。
この尾根を使えば最短距離で長沢山に登れそうだ。
ただし、この尾根の末端は見るからに危険そうである。
800mから900m辺りまでの痩せ方と、コンターの詰み具合を見ると間違いなく岩場があるはずだ。
下手に取りついて行き詰った時の事を考えると怖い。
十津川村さんの記録ではこの尾根の北西の支稜を下られていて、そちらから取りつけばなんとか登れるはずだが、取付きまでの西谷右岸の作業道は崩落で通れなくなったらしい。
困ったときのネット検索で、探してみると末端から登った記録がいくつか見つかった。
やはり岩場があるようだが、それほど危険もなく越えられるとのこと。
ただ、この手の山歩きをする人の話は半分に聞いておかなければならない。
危なそうだったら迷わず引き返す覚悟で出かけた。
大血川の林道は渓流釣り場の先で通行止めになっていた。
ゲートから少し戻った路肩に車を置いて歩き出す。
林道が大きくUターンするここから西谷へ降りる。
橋を渡り、右岸の作業道へ、
鉄砲沢を飛び石で渡って、
ここから取りつく。
のっけからとんでもない急坂。
最初は植林帯の急登。
植林が切れると、すぐに最初の岩場が現れる。
直登は出来ず、左右とも切り立って巻けないが、岩の割れ目から根っこにつかまって登れた。
これが無ければ越えられなかった。
さらに岩場の急登が続く。
立ち木や根に掴まりながら這い上る感じ。
いやらしい場所もあったが、ホールドが多いのでさほど危険もなく登って行けた。
ただ急傾斜なのでかなりキツい。
950m辺りで一瞬傾斜が緩む。一息入れていたら鹿が白い尻を躍らせながら逃げて行った。
猟師はあの白い尻を目印にするのだという。山では白っぽい服は避けた方が良さそうだ。
その先で尾根は広がるが、ずっとこんな感じの急斜面の登り。
壁のような斜面だったのに、写真だと大したことなさそうに見えるのが悔しい。
1300を過ぎた辺りから雪が出てきた。
左手に酉谷山と小黒。
1400圏で急に尾根が広がる。この辺りは緩斜面で気持ちのいい場所。
登るにつれて雪が増えてきた。
凍ってはいないが、やたらと滑るので軽アイゼンを着ける。
1550辺りで左から足跡が登ってきていた。
この人どこから登ってきたのだろう?
落ち葉の上に積もった雪で滑りまくりながら登って、ふと気が付くと着けていたはずのアイゼンが両足とも無い!?
いつの間にか外れてしまっていた。道理で滑るはずである。
さて困った。どうしたものか?
苦労して登ってきたこの急斜面を、探しに下るのはぞっとしない。
あと稜線までいくらもないので、アイゼン無しでも行けそうではある。
ただ、問題はその後だ。長沢背稜は行けても芋ノ木ドッケから北に下る道が心配だ。
しばし悩んだ末、探しに戻ることにして泣く泣く下る。
ザック置いて下ればいいのに、何故か背負ったまま下ってしまって後悔する。
30mほど下った所で片方を発見。
さらに下って探すがもう片方は見つからず、あまり下ってしまうと大変なので諦めて引き返す。
最悪片足だけでもなんとかなるだろう。
再度稜線を目指して登る。
空が広がってきた、もう少し。
なんとか長沢背稜に乗った。ここが長沢山の東の肩になる。
前回、榊山から登った時もここに出た。
そして、あろうことかこの先でまたアイゼンが外れた。
今回はすぐに気が付いたのでちょっと引き返すだけで済んだが、もうこれはダメだな。
着脱が楽なのは良いけど、こんなに簡単に取れちゃうようじゃ危なくて使えない。
11時半。ようやく山頂へ到着。
こんなマイナーな山にまでこんなものが。。
日当たりも良くて暖かいのでここで昼食。
雲取山が目の前に見えた。
ここまで、予期せぬトラブルで予定より30分以上遅れている。
この先ちょっと急がないと日が暮れるな。
稜線の道を西へ。積雪は5センチくらいで滑り止め無しでも問題なく歩けた。
ただ、芋ノ木ドッケへのダラダラとした登りが結構堪えた。
長沢山までの登りで予想以上に消耗してしまったようだ。
三峰への分岐から
ちょっと歩いて二軒小屋尾根の下降点に寄り道。
ここから先は去年歩いた道。
これで家から雲取山まで線がつながった。
時間はすでに1時をまわっている、あまりゆっくりはしていられない。
感慨に浸る間もなく北へ向かう。
ここまで誰にも会わなかったが、ここから先は雲取山への登山道なので人が多い。
白岩山。
予想通りここからの下りが怖かった。
登ってくる人は誰も滑り止めを着けていなかったが、下りだと踏み固められた雪で何度か滑った。
ここが一番怖かった。
白岩小屋はずいぶん崩壊が進んでいた。
前に来た時はまだ泊まれそうな感じだったのだが。
前白岩への登り返しが恐ろしく辛かった。時間に余裕がないと余計にキツく感じる。
もう2時を回っているのに、まだ登ってくるパーティーがいる。
山荘泊まりだろうけど、なんでこんなギリギリの時間で行動するのだろう?
もっとも、行程に関しては今回私もちょっと無理があった。人の事は言えない。
前白岩の肩からの激下りで膝がガグガクになりながらお清平へ。
時間は2時半。順調に行けば4時過ぎには下山できそう。
ちょっと余裕が出来てベンチで休んでいたら、軽装の人が2組、霧藻ヶ峰へ向かっていった。
日帰りで雲取ピストンだろうか、すごい健脚だ。
鴨沢から日帰りした事はあるけど、三峰からは無理だな。
ここからの下りも地味にキツかった、足だけではなく何故か肩や腰まで痛くなってきた。
ヘロヘロになりながら太陽寺の上まで下ると、登山道が通行止めになっていた。
大血川に下るには林道で迂回しろと言う。
そういえば、前に安谷さんに聞いた気がするな。
このルートで雲取に登るなんて絶対に無いと思っていたのですっかり忘れていた。
まあ、どうせ林道の途中に車を置いてあるから大した回り道でもないか、とのんびり林道を下る。
4時過ぎ、無事に車に帰り着いた。
今回は本当にキツかった。。
北尾根の事ばかり考えて、登山道の区間を甘く見ていた。
ともあれ、これで懸案だった区間をクリアした。残りは暇を見て歩いてみよう。
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