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2015年6月 1日 (月)

厳しく楽しい源流行

 週末、源流部会の釣査でちょっとハードな源流へ行ってきた。

今回は釣行記というより、山行記。

メンバーはなんさんとなんさんの山岳会のOさん、Sさん、私の4人。
Sさんとは初対面だが、Oさんとは以前岩トレでお会いした事がある。
皆さん、バリバリの沢屋さんなので、足を引っ張らないよう気合を入れて参加した。
 
今回は前夜に最寄り駅で集合し、私の車に乗り合わせて秩父へ向かう。
最初は車止めでキャンプする予定だったが、結構な雨に負けて道の駅で仮眠をとる。

朝7時過ぎ、車止めを出発。
まずは1時間半の林道歩き、山道を歩くのはさほど苦にならないが、林道を延々と歩かされるのはかなり辛い。

9時、ようやく入渓点に到着。
Res04170

今回は本格的な沢の遡行になるので、久しぶりにハーネスを装着する。
Res04171
私は最低限のガチャしか持たないが、他の皆さんはハンマーやハーケンなどフル装備。
ロープなども全部お任せで、少々後ろめたい。

身支度をして遡行開始。
昨夜の雨も上がって快晴の空の下、気持ちよく沢を歩く。
Res04177

この沢は何度か遡行しているが、久しぶりに見たらずいぶん土砂で埋まっていた。
以前はヘツったり巻いた所も、普通に水線で通過できる。
Res04195
楽は楽だが、ちょっと残念。
  
綺麗なナメ滝。
Res04209
ハルゼミの声を聞きながらの沢歩きは最高に気持ちが良い。

予定よりちょっと遅れて、2段の大滝に到着。
Res04215
河原の様相はだいぶ変わってしまっていたが、滝は以前の迫力を保っていた。
間近で瀑風と飛沫を浴びていると鳥肌が立つような興奮を覚える。

この滝を前衛にキ○チヂミと呼ばれるゴルジュ帯が続く。

この滝、落ち口に謎の残置があるのだが、直登しようなどと考えたら、キ○どころか寿命まで縮んでしまうので、ここは素直に巻いて乗り越す。

以前はゴルジュの出口まで一気に巻く道があったのだが、数年前の台風で斜面が崩落し、通れなくなってしまった。
なので、滝の上に降りて、その先は川通しで遡行する。
Res04224

濡れるのを厭わなければさほど苦労しない。

最後の難所で残置スリングが切れていてちょっと難儀したが、無事に通過。
Res04228
コツは「絶対に下を見ないこと」(笑)
  
この先はしばらく渓相が落ち着く。
Res04231

  
左から小さな沢を合わせ、その先の小ゴルジュを過ぎると、この沢最大の支流と出合う。
ここからの巨岩帯は普段は伏流して水が消える。
  
ここで面白い光景を目にした。
落ち込みで出来た水溜りに10数匹のイワナが閉じ込められていたのだ。
突然の人の姿に驚いてバシャバシャと慌てふためいている。

一抱えほどの水溜りにこれだけの魚がいたら、水が枯れなくてもいずれ飢え死にしてしまうだろう。
見殺しにするのも可哀想なので、なんさんと二人で掬って、下流の淵に放流してやった。
 
こういう善行を積んでおくと、いずれイワナが恩返ししてくれるかもしれない。(笑)
  
予定ではここから竿を出して遡行するはずだったが、ちょっと遅れ気味なのでもう少し歩く。
 
大滝を巻いて、平坦になった所からやっと竿を出す。
時間も押しているので、あまり粘らず、要所々々で釣るような感じ。
エサ釣りのSさんは疲れたので釣りはいいや、というので私となんさんとで交代に竿を振る。
   
ザックを背負ったままなので窮屈な釣りになってしまったが、ほとんどポイントごとに反応があって、しばしイワナと遊ばせてもらった。
Res04235
私は思ったより型が揃わず、9寸止まり。
なんさんは尺を2本揃えた。何かが違うのだろうなあ。。
ツを抜けた所で竿を畳み、今日のテン場を目指す。
  
予定していた場所まで届きそうもないので、ずっと下でどうにか泊まれそうな場所を見つけてタープを張った。
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夜は河原で宴会。
疲れていて、早々に寝袋に入ってしまった。
明け方はかなり冷え込んだけど、虫に悩まされる事も無く、快適に寝ることができた。
  
翌朝、早起きしてSさんが炊いてくれたご飯をお腹いっぱいに食べて出発。
予定より1時間遅れたので、ほとんど竿は出さずに遡行する。
Res04243
1時間少々で今回詰め上がる沢との出合いに到着。
  
ここでザックを降ろして、30分ほど周辺を釣る。
Res04245
この辺は思ったより魚影が薄くて、ほとんど釣れなかった。
ここまでに真新しい焚火の跡がいくつか見られたので、かなり抜かれてしまっているのかも知れない。
  
竿を仕舞って、沢を登る。
すぐの二股を右へ、水量は少ないけどなかなかの美渓である。
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コマドリの囀りを聞きながら気持ちよく遡行する。
 
最初の通らず。
Res04265
しばらく滝を眺めていたなんさんが「なんだか登れそうだね」などと言い出す。
クライミングの達人Oさんも登る気満々。
  
私は正直、登りたくないんですけど。。。(^^;
  
でも、以前来た時は右から巻いて、稜線近くまで追い上げられて苦労したので、それを考えると、まだ直登した方が楽かな?とお二人に従う事に。
  
1段目。ちょっと濡れるが、意外と楽に登れる。
Res04267

2段目、簡単に行けそうだったので真っ先に取りついたら、最後で行き詰ってしまった。
どうしたものか?と思っていると、「JICKYさん、ザック降ろした方が良いんじゃない?」と声がかかる。
そんな事を言われても、もう降りられない。(^^;
登攀力も無いのに最初に登ってはいけないよなあ・・・
  
「その岩の上に置けない?」
左の上にどうにかザックを置けそうな岩が出ている。
問題はどうやってそこまでザックを上げるかである。
岩の上を探りながら考えていたら、なんとなく登れてしまった。
 
クライミングでは、ちょっと立ち位置や体の向きを変えただけで、意外なほどあっけなく登れてしまうことがある。
岩登りは実に奥が深くて面白い。
  
続いてなんさんとOさんが難なく登り、
Res04268
  
最後にSさんをお助け紐で引き上げる。
Res04271
  
その上にも小滝がかかる、これは絶対に無理だと思ったが、二人は「空身なら行けるね」などと言う。
Res04270
 
ただし、空身で登るとザイルを使って荷揚げしなければならない。
時間も無いのでここは素直に巻く。
 
スズタケを掴み、藪を漕ぎながら垂直に近い斜面を登る。
先頭のなんさんに続き、どうにか登り終えた所で、後ろから「うわあっ!らーくっ!」という叫び声。
続いて凄まじい落下音、遥か下で岩の砕ける音。
全身が凍りついた。
 
後ろで落石が起きたらしい。
最悪の事態が頭をよぎるが、すぐに二人の話し声が聞こえてきた。
  
幸いお二人とも無事な様子。ほっと胸をなで下ろす。
  
聞いたら、途中の大きな岩が剥がれたらしい。
しっかりした岩に見えたので、私は全体重を預けて攀じのぼってしまっていた。
もしその時に落ちたり、あるいは下にいたとしたらひとたまりもなかっただろう。
  
事故に遭わないという事は、幸運に支えられている部分も少なくない。
  
冷や汗をかいたが、無事に登り終えると、すぐに次の滝。
Res04272
これは左側の岩壁を登る。
  
私もなんとか登って、なんさんOさんと3人で上で休んでいたら、だいぶ難儀したらしいSさんが「もっとお助け(紐)を多用してください!」と文句を言いながら登ってきた。
半分冗談のようでもあったが、「落ちてからじゃ遅いんだよ」とかなり本気でご立腹の様子だった。
  
私は自分の事で精いっぱいだが、グループ行動でリーダーを任される人は大変だなあ、と思った。
  
その後は難所もなく、ちょっと倒木が煩わしかったが順調に高度を稼ぐ。
Res04278
  
空が明るくなり、右手に笹原が見えてきた。
Res04282
もう稜線が近い。
  
左岸の踏み跡を辿り、一面の笹原を登って稜線に出る。
Res04285
こういう詰めは爽快感があって最高である。
  
稜線上で小休止。
天気も良くて、尾根を渡る風が気持ちいい。
1_2
  
あとは尾根沿いに歩いて、
Res04298   

入渓点へ下るだけ、と思っていたが、そんなに甘くなかった。
Res04299
 
広い尾根の下りで、背丈を超える笹藪に惑わされ、1本隣の尾根を下ってしまった。
結構踏まれている踏み跡が笹の中に続いていたので間違えてしまったのだ。
  
途中で違う方向に向かっているのに気がつき、100mの標高差を登り返す羽目に。。
ただの100mならともかく、激藪の中を登り返すのは本当にキツい。
ここで1時間以上ロスしてしまった。

  
どうにか登りきり、正しいルートに出る。
こちらは明確な道がついており、快適に下る。
が、やはり途中から笹薮に・・・
Res04300_2
鹿道が交錯して迷いかけるが、ビニールテープの目印を頼りになんとか抜ける。
  
その後は開けた森の中、広い尾根を下る。
Res04302
テープやリボンの目印が所々にあって、それに従って歩くのだが、それでも何度か見失って迷いかけたり、道が崩れていたりと簡単には行かせてもらえなかった。
  
どうにか以前歩いた道にたどり着き、入渓点に戻ったときには6時を回ってしまっていた。
  
もうみんなクタクタ。
これからまた1時間半の林道歩きが待っていると思うと気が遠くなる。
  
が、歩かなければ帰れない。
最後の気力を振り絞って歩き出す。
  
林道の途中で日が暮れ、真っ暗になるが、先を行くなんさんはヘッ電をつける気配がない。
聞くと、「ザックを降ろしたらもう2度と背負う気になれないから」だそうな。。(^^;

私も付き合って、暗い林道を目を凝らしながら歩いた。
意外と見えるものである。
人間の視力ってすごい。
  
最初は「この沢を越えたからあと何分くらいかな?」などと考えながら歩いていたが、徐々にそれすら面倒になってしまった。

半分放心状態で、思考が止まった状態で機械的に歩き続ける。
もう、いいかげん体力が尽きかけた頃、ようやく車に帰り着くことが出来た。
  
倒れこむようにザックを降ろす。
確かに、もう2度と背負う気にならない。
もう歩かなくていい、という開放感からか、一気に体中の力が抜けた。
  
とにかく疲れた・・・・
  
昼から何も口にしていないのに、疲れすぎて空腹すら感じない。
  
ハンドルを握る気力も無くなってしまい、帰りはOさんに運転を代わってもらう。
有料と高速を使って、どうにか皆さんの終電に間に合う時間に帰ってくることが出来た。
  

無事に帰り着く事が出来て本当に良かった。
家に帰ったのがこんなに嬉しく感じられたのは初めてだ。
それだけ今回の山行がハードだったと言う事なのだろう。  


参加された皆さん、お疲れ様でした。
本当にありがとうございました。
  


  

  

*帰ってきた時は「もうしばらく沢はいいや」と思っていたが、こうして記事を書いていると、また次の山行に思いを馳せている自分に驚かされる。
つくづく人間というのは懲りない生き物である。(笑)
  
  
 

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コメント

うーむ、相変わらず秩父の岩は丸くてツルツルですなあ。
でもイワナはイッパイ釣れたみたいで良かったですね。

鵜住居さん。
私は秩父ばかり行っているので、もう慣れてしまいました。
沢というのはツルツルの岩の上を歩くものだ、と割り切ってます。(^^;
イワナは思ったより釣れませんでしたよ。
結構人が入っているようで、苦労に見合った釣果では無かったです。

こんばんは。
写真でも、下は見れません^^;
それにしてもハードな釣行(山行き)ですね。
装備、技術がない僕には別世界…次元の違いを感じます。

また、これだけハードな渓でも抜かれているとは驚きました。
持って帰れないから食べてしまうのですかね???^^;

しげさん、こんばんは。
写真で見ると恐ろしい所に見えますが、実際は大したことないです。(^^;

でも、今回は、本当にハードでしたね。
装備や技術は私もまだまだなので、ベテランの皆さんに連れて行っていただいてどうにか、といった感じです。

この沢は尾根越えで源頭部に降りられるらしく(当然、それなりに大変ですが・・)それで抜かれているのかな?と思いました。
釣ったイワナ、どうしてるんですかねえ?

Jickyさん
読み進むにつれて、もうぐったり疲れました(笑)。
コツは絶対に下を見ないっていっても、やっぱり見て瞬間キ◯チヂミでもって動けないでしょうね。
次元がはるかに違う釣行記いや山行記で、すごいもんですね。
ここまでやっても先行者が抜く源流域、好きな釣師は恐れ知らず。呆れたり羨ましい執念です。

numassan
お疲れ様でした。(笑)
下を見ないのがコツといっても、実際には次の手がかり足がかりを探すのに目いっぱいで、下を見ている余裕なんて無いと言うのが正直なところです。(^^;
本当にこんな大変な思いをしてまでイワナを釣りたいものか、と呆れてしまいますね。
私は沢登りが楽しくなかったら、こんな所まで絶対に行きませんけどね。

こんばんは。

ハーネス着用ですか(^^;
正真正銘の本格的な沢登ですね。
とても興味深く拝見させていただきました。
恐ろしいような、でもやってみたいような・・・。

登り詰めたあとの稜線は最高でしょうね!
穏やかな稜線と今までのギャップがなんとも言えません。

激ハードな行程、お疲れ様でした(^^

co-dropさん、こんばんは。
今回は確かに本格的な沢登りでしたね。

ハーネスは結局一度も使いませんでした。(^^;
幸い、ザイルを使うような場面が無かったので。

実際、沢登りってそんなに恐ろしい事はありませんよ。
沢屋さん達は、危険な場所は必ずザイルで確保しますので。
釣り人の方がよっぽど危険な事をしていると思います。

今回は詰め上がりが開けた場所だったので爽快でしたけど、多くの沢は藪漕ぎになるようです。(笑)


JICKYさん、おはようございます。
前記事と共にじっくり拝読させて頂きました。もう凄すぎて言葉も出ません・・・ (^^ゞ
けど、このようにご苦労されて行きついた場所には、その方達しか見ることができない素敵な景観が広がっているのでしょうね、きっと!!
それにしても、これだけ凄い行程を終えてから車を長時間運転して、しかも最終電車で帰るなんて・・・、もう人間業を通り越していますね!!

Green Cherokeeさん、こんばんは。
今回は本当に疲れました。体力の限界まで歩きました。
でも、おっしゃる通り、険しくも美しい渓や、2000m近い稜線からの展望など、苦労しても行ってよかったと思える景色に出会えましたね。

ご一緒した皆さんは私より体力のある人ばかりでしたので、駅に着くやいなや、ダッシュして終電車に駆け込んでました。
私は家に着いても、車からザックを降ろす事も出来ませんでした。(^^;

こんにちは。
みなさん、おっしゃるようにすごすぎて言葉も出ません。
しかもここまで来て抜かれているとは驚きです。
ふつうの渓流で魚があっという間に少なくなるのももっともですね。
それにしてもスリル満点な記事、毎回お疲れ様です。

windknotさん、こんにちは。
秩父の源流は険谷ばかりで、釣りは大変ですけど、沢歩きは楽しいです。
今回の沢は、純粋に釣りだけを目的に奥まで入る人は多くないはずなんですけどねえ。
沢屋さんとかが夕飯のオカズに釣るのは知れてますし。。

私も10年後には絶対に行けなくなっていると思うので、今のうちにせいぜい楽しんでおこうと思います。(笑)


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