至福の渓
右手の怪我も大方良くなったので、久しぶりにホームリバーへ釣行した。
朝4時、白み始めた空の下を歩き出す。
森の中はハルゼミの大合唱、山全体が鳴動しているようだ。
ナツツバキがあちこちで花を落として、甘い香りがただよっている。
原生林に囲まれて、素晴らしい渓相の川だったのだけど、昨年の大雨で上流部に大規模な崩落があり、川底が砂で埋まってしまった。
去年釣行したときは、それでもそこそこイワナが釣れて、とりあえず一安心したのだが、
果たして今年はどうなっているだろうか?
一息入れて、竿を準備する。
と、ここで重大な失敗に気がついた。
毛鉤ケースが無い!
昨夜、毛鉤を数本巻き足して、そのまま家に忘れてきてしまったらしい。。
さて、どうしよう。
仕掛け巻きに付けっぱなしの毛鉤はあるが、使い古しのボロボロのが2本だけ。
これではお話にならない。
途方にくれて河原にへたりこんでいると、ふと先日のテナガミーティングでしげさんから頂いた毛鉤を、試しに使ってみようとザックの雨蓋に入れておいたことに気がついた。
あった!
地獄で仏とはこの事。
今日1日がただの沢歩きにならなくてよかった。(笑)
使うのが勿体無いくらいに綺麗に巻かれた毛鉤だが、背に腹は変えられない。
夏のイワナに効果絶大、と聞いていたアントパターンのパラシュートをつけてみる。
クジャクの胴体で、なんとなく私の黒毛鉤に似ている。
(出来映えははるかに及ばないが・・・)
日並みのせいか毛鉤のおかげか、やたらと反応が良い。
最初の大場所。
数年前に自己記録の36センチを釣ったポイント。
砂で埋まって見る影もなくなってしまった。
そっと近寄って毛鉤を投げる。
右の岩陰から大きな魚影が一瞬毛鉤を追ったがUターン。
慎重に間合いを詰めて、もう少し上流にキャスト。
岩壁に沿って流れていた毛鉤が、吸い込まれるように消えた。
一呼吸置いてアワせる。
ガツッ!と根掛かりしたような手ごたえ。
続いて、ギューン!と強烈な引き込み。
竿を立てる間もなく伸され、竿とラインが一直線になってしまった。
普通なら竿の弾力が無くなった途端にラインブレイクしてしまう所だが、私の仕掛けはフロロカーボン4号のラインに1.5号のハリス。
源流のイワナごときに切られるような心配はない。
穂先のリリアンがすっぽ抜けやしないか?というのが唯一の不安。(笑)
しばらくイワナと綱引きをして、ようやく竿を立てて矯めることが出来るようになる。
寄せては走られ、浮かせては潜られを繰り返し、やっとの事で手元に引き寄せる。
デカい!
完全に尺上。
興奮しながらメジャーをあてる。
36センチ。
何度測っても同じ。
残念ながら記録更新はならず。
せっかくなので撮影用のメジャーと共に。(笑)
ちょっとやせ気味かな?
前に掛けたのはもっと丸々と太っていて、上げるのに5分くらい掛かった記憶がある。
砂で埋まってしまってエサが不足気味なのだろうか。
ここで一旦竿を仕舞って高巻き。
右岸の踏み後を辿る、ちょっと高度間のあるトラバースを強いられるので、できるだけ下は見ないように。
ここから上がこの川の核心部。
やはり砂で埋まって無残な状況。
でもイワナはバンバン釣れる。
2本目の尺、丁度30センチ。
8寸が平均でほとんど入れ食い。
ポイント毎に釣れる。
掛ける度に周りから2~3匹のイワナが走る。
ポイントを荒らさないように上手く抜き上げれば同じ場所で2匹3匹と続けて掛かる。
河原にもナツツバキの花が沢山落ちて、甘い香りを放っていた。
一体、何があったのか?
と思うほどイワナの機嫌が良い。
同時に2匹がアタックしてきたりする。
ドロッパー着けてたら一荷で釣れそうな勢い。(笑)
20匹ほど釣ったが、しげさんの毛鉤はビクともしない。
私の毛鉤は10匹も掛けたらボロボロになってしまうのだけど。。(笑)
砂で埋まっているせいか、花崗岩の渓で釣れるイワナのように白っぽい固体が多い。
ナラタケ、今年の初物。何故か1本だけ。
これも白っぽいイワナ。
あまり秩父イワナっぽくない。
ミヤマカラマツ。
川岸の岩壁にいっぱい咲いていた。
さすがに飽きてしまって、昼前に納竿。
数えていないけど、30匹以上釣れたはず。
10年以上この川に通っているけど、こんなに釣ったのは初めて。
ちょっと増水気味で活性が高かったのと、毛鉤の出来が良かったせいだろうか。
気分良く帰りの山道を歩いていたら、またしても大変な事に気がついてしまった。
買ったばかりのピンソールが無い!
恐らく、いや、間違いなく入渓点に置いてきてしまった。
毛鉤ケース忘れ事件とかでバタバタしていた事もあって、うっかりしていた。
登山道からの下降点はまだ先なので、途中で寄り道をすれば済む事なのだけど、川までの標高差は約150m、ほとんど崖のような急坂の往復なので、「ちょっと寄り道」というレベルの話ではない。
一瞬、諦めようか?という気にもなったが、先日購入したばかりで、今日下降時に20分ほど使っただけ。
さすがに諦め切れない。
仕方なく、川まで往復する事に。(泣)
自分の間抜けさに腹立っていた勢いで歩いたせいか、普通、小一時間かかる往復を30分少々で登山道に戻ってこれた。
でもやっぱり、ちょっと足が攣ってしまった。(笑)
2回の忘れ物に慌ててしまった釣行だったけど、空前の爆釣に救われた一日だった。
2匹目のドジョウは居ないと思うが、シーズン中に、もう一回行ってみようかなあ。
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コメント
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おはようございます^^
大爆釣!おめでとうございます^^。
コレだけ釣れると、やっぱり飽きちゃうんですね(笑)。
私も飽きるほど釣ってみたいです。
冒頭で毛鉤がなくてどうするの?とドキドキしましたが、
しげさんのフライがあってよかったですね^^。私も常々
しげさんのフライには助けられています^^。
投稿: farwater | 2013年7月 8日 (月) 08時53分
JICKYさん、こんにちは。
最近は山奥の渓でも魚が少なくなって・・・なんていう話はよく聞きますが、いるんですねぇ…。しかも飽きるほどですって…。スゴイですねぇ・・・。
羨ましすぎます。私はため息しか出ません(笑)。
投稿: カチーフ | 2013年7月 8日 (月) 12時33分
JICKYさん、こんばんは。
ご当地らしい、見事な色彩の岩魚たち、そして圧巻の36cmです!!!
尺上二匹をあたまに、数も素晴らしいですね!
こんな素晴らしい釣行に、しげフライも連れていって頂けて光栄です(^^)
テナガの時には在庫を切らしていた一番のお気に入りパターンもありますので、今度はそちらをお渡ししますね。
ぜひ、また連れていってやってください。
よろしければ、いずれ僕も連れていってくださいm(_ _)m
歩けるよう体力をつけておきます。
投稿: しげ | 2013年7月 8日 (月) 18時58分
farwaterさん、こんばんは。
さすがに、毛鉤を投げれば釣れる、という状況は半日やってると飽きますね。(^^;
10年に一度の爆釣でしたが、過ぎたるはなんとやら・・という気もします。
毛鉤を忘れた時は目の前真っ暗でしたけど、しげさんの毛鉤に救われました。
自分の毛鉤より釣れる様な気がしました。
というか・・・もしかして、毛鉤を忘れたのが良かったのかも。。。(笑)
投稿: JICKY | 2013年7月 8日 (月) 21時04分
カチーフさん、こんばんは。
色々と考えてみたのですけど、川が荒れてしまって、釣り人が減ったのも要因ではないかと思われます。
エサ釣り向きのポイントはほとんど潰れてしまいましたから、釣り人も敬遠しているのかも知れません。
私が適当に釣ってもこの釣果ですから、カチーフさんでしたらこの倍くらい釣られていたのではないかと思いますよ。
まだまだ秩父の川も捨てたもんじゃないですね。
投稿: JICKY | 2013年7月 8日 (月) 21時09分
しげさん、こんばんは。
今回は本当に助けられました、ありがとうございました。
あのパラシュートは浮かせても沈めても良いですね、魔法の毛鉤のように感じました。
一番のお気に入りパターン、楽しみです、是非お分け下さい。
秩父の渓でしたらいつでもご案内しますよ。(^_^)
今回ほどの爆釣は望めないかも知れませんが、条件さえ良ければきれいなイワナ達が遊んでくれると思います。
投稿: JICKY | 2013年7月 8日 (月) 21時15分
JICKYさん、こんばんは。
イワナもキノコも、もう溜息しか出ません・・・ 尺二寸ってやつですね・・・ 凄すぎます!!
今週末、是非、詳しく教えてくださいね!!
投稿: Green Cherokee | 2013年7月 9日 (火) 21時55分
Green Cherokeeさん、こんばんは。
イワナの方はもう少しで記録更新だったんですけどねえ・・(笑)
キノコは思ったより出てませんでしたね、ヒラタケが爆発してるんじゃないかと期待して行ったたんですけど、ちょっと遅すぎたみたいで、あちこちで腐って溶けてました。
今週末、よろしくお願いします。
投稿: JICKY | 2013年7月10日 (水) 21時59分
コメントが遅くてすみません。
凄い。。。の一言です。
私は体力がないのでたどり着けない世界なんだろうなぁーと思いました。
36センチはお見事ですね。
1.5号のティペットでの釣りもすごいなぁとおもいました。
投稿: ジョニー | 2013年7月14日 (日) 20時26分
ジョニーさん、こんにちは。
体力的には私も相当厳しいのですが、なんとか頑張って歩いてます。
無理せずに自分のペースで歩ければ行けると思いますよ。
秩父の渓はそれなりに魚もスレてますが、あの辺まで行けばまだまだ釣り人に優しい魚も残ってます。
1.5号のハリスですが、テンカラの場合ほとんどラインを水面につけないように流しますので多少太くても問題ないと思ってます。
ただ、ドライフライを使うときは、シビアな場所ではやはり厳しいですね。
投稿: JICKY | 2013年7月15日 (月) 15時43分